第1章「多機能=複雑」の常識を疑え。

竹山(idea spot):

関さん、まず単刀直入に伺います。数ある電子黒板の中で、StarBoardのいちばんの強みはどこにあるのでしょうか。

株式会社 idea spot 竹山 隼矢(Junya Takeyama)

関様(StarBoard)以下敬称略:

一言でいえば、「ホワイトボードアプリひとつで、授業が完結すること」です。 図形、素材、教材の切り取り・貼り付け、ウェブ検索、そしてAIへの質問まで。授業に必要なあらゆる操作を、あちこち移動せず、このホワイトボードアプリ一つで行えるようにしました。

株式会社StarBoard Solutions 関様

竹山:

実際に触ったとき、私もそこに一番驚きました。「どのアプリを使おうか」と探したり、画面を切り替えたりする手間が一切ない。これ、現場感覚でいうとものすごく大きいです。

関:

そうなんです。別のアプリを探したり、画面を切り替えたりする数秒間、先生の頭はどうしても製品の操作に気がとられてしまう。 先生は生徒の表情を見たり、時間配分を考えたりと、授業中は高度なマルチタスクをこなしています。だからこそ、ストレスなく使えることが重要でした。

竹山:

おっしゃる通りです。授業中の先生は常に決断の連続です。そこに「アプリを探す」というノイズが入るだけで、負担は想像以上に重くなる。 その意味で、AI機能がホワイトボードに統合されていたのは衝撃でした。

関:

AIに関しては「起動の速さ」にこだわりました。マイクを活用すると、生徒の方を向いたままAIへ質問できます。AIの回答文や画像もワンタッチでホワイトボードアプリにコピーできます。

ホワイトボードアプリのAIアシスタントの応答画像。口頭で「東日本大震災について教えて」と尋ねると、画像のように詳細に返答。

竹山:

教材の扱いやすさも秀逸でした。5本指で長押しするだけで、必要な部分だけを切り取って、ワンタップでホワイトボードに貼れる。まるで、あらゆる情報が「ホワイトボードという一枚のキャンバスに吸い寄せられていく」ような感覚でした。

関:

さらに「最小化」というボタンを押すことで、教材とホワイトボードの行き来もワンタッチでできます。先生たちは教材とホワイトボード(従来は黒板)を頻繁に行き来しますので、そこをスムーズにするための機能です。

竹山:

これほど多機能なのに、操作はかなりシンプルになっている。これは、なかなかできない設計だと思います。普通は機能が増えるほど、操作は複雑になりますから。

関:

そこは我々が最も警戒した点です。 先生方はこれまで、ICT機器が入るたびに「便利なはずなのに仕事が増えた」という矛盾を経験されてきました。本来、負担を減らすための道具が、新たな負担になってはいけません。StarBoardでは「多機能=簡単」の方程式を徹底して守り抜きました。

竹山:

だからこそ、「まずホワイトボードを開けば授業が始まる」という状態が成立しているのですね。

関:

はい。その「現場での使いやすさ」は、国境を超えて評価をいただいています。 実は2024年の段階で、世界80カ国、累計50万台以上の販売実績を達成しました。 例えば2011年にはマルタ共和国の全公立小中学校へ、翌2012年にはトルコ共和国へ8万5,000台が一括導入されています。

竹山:

8万5,000台……! 日本国内の感覚とは桁が違いますね。まさにグローバルスタンダードですね。

関:

そうした世界での実績を経て、日本国内でも着実に広がっています。 例えば沖縄市では、小中学校合わせて500台が導入されました。「迷わない」「スマホ感覚で直感的に使える」と、現場の先生方からも非常に高い評価を頂戴しています。

竹山:

販売台数50万台の実績に裏打ちされているからこそ、日本の現場でも確かな手応えがあるわけですね。

関:

ありがとうございます。さらに言えば、我々は画面サイズにも拘りを持っています。

竹山:

我々も86インチの機体を導入しましたが、さらに大きなサイズがあると聞いてびっくりしました。教育現場では、細かい図や地図、グラフを見せる際、拡大・縮小の操作(ピンチイン・アウト)の使用頻度はかなり高いです。でも、画面自体が大きければ、その操作自体が不要になる場面も増えます。

関:

弊社では最大110インチ(受注生産限定)までご用意しています。他にも98インチの大画面なら、教室の隅からでも視認できますし、先生は拡大・縮小操作を繰り返さずに済みます。「画面を大きくすること」は、実は「操作の手間を減らすこと」に直結するのです。

竹山:

110インチですか!? 1枚パネルでそのサイズは世界でも有数ではありませんか?

関:

長年この業界にいますが、世界中を見渡してもほとんど聞いたことがありません。

竹山:

機能面だけでなく、ハードウェアの設計にまで「先生の負担を減らす」という思想が貫かれているわけですね。

関:

はい。StarBoardの設計思想は常に一つ。「先生が授業に専念できるかどうか」。機能もサイズも、すべてはその一点を基準に決めています。


第2章 「効率化」の本当の意味。なぜデジタルネイティブの先生は、StarBoardで「時間」を生み出せるのか?

関:

第1章でお話しした機能設計もすべてつながるのですが、これからの教育現場において「授業の効率化」は、さらに重要なキーワードになると考えています。

関:

黒板には黒板の良さがありますが、物理的に「書いて、消して、また書く」という作業の連続です。チョークの補充や掃除といった付帯業務も発生します。 一方で、若い世代の先生方はデジタルネイティブですから、デジタルデバイスのほうが黒板より使いやすく感じています。

竹山:

弊社の20代社員を見ていてもそれは痛感します。電子黒板への適応が早く、作業効率が段違いに良い。 たとえば、その社員は社会科の講師ですが、毎回の板書を保存し、翌年の授業で再利用しています。歴史の単元で平安時代の板書を作るとして、基本部分は毎年変わりませんから。デジタルなら一度作り込んだものを保存し、翌年以降も再利用できます。

関:

それはデジタルならではの強みですね。作って、保存して、必要に応じてアップデートしていく。この積み重ねこそが、長期的な授業の効率化につながります。

竹山:

StarBoardを使っていると、授業がただ流れて消えていくのではなく、「板書が資産として蓄積されていく」感覚がありますね。講師間で上手な板書をシェアすることもあり得ますね。

関:

ありがとうございます。実はその発想の背景には、StarBoardの25年にわたる歴史があります。 1998年の初期モデルは、パソコンと電子黒板をケーブルで繋ぎ、操作はパソコン側で行う仕様でした。

竹山:

StarBoardは、もともと日立グループ(日立ソリューションズ)から生まれたブランドですよね。 まさに日本の電子黒板の黎明期から、技術の現場を牽引してきた存在でした。

関:

はい。当時から先生方の声を聞き続けてきました。その中で「やはり黒板側ですべて完結するほうが自然だ」という結論に至り、改良を重ねて現在の形になりました。

竹山:

四半世紀分の「現場の声」が、この一台に詰まっているわけですね。

関:

そう自負しています。今後も現場の声に耳を傾け、より空気のように自然に使える道具へと進化させていきたいですね。

竹山:

現在、特に普及が進んでいる地域などはあるのでしょうか?

関:

代表的なのは佐賀県です。 県全体で早くからICTを積極的に導入しており、電子黒板を標準設備化されています。いわば「デジタルがあることを前提に授業が設計されている地域」と言えます。

竹山:

自治体全体で取り組むと、学校現場の景色は一変しますね。

関:

そうですね。まだまだ使い方は試行錯誤の段階かと思いますから、「Kokuban BASE」では教育者ならではの視点で、電子黒板のさらなる有効活用を発信していただけることを期待しています。

対談を終えて

竹山:

今回、関さんとお話しして改めて感じたのは、StarBoardは単なる高性能な電子黒板に留まらず、ソフト・ハードの両面から「現場の使いやすさ」を徹底して追求した製品だということです。 私たち教育事業者の想いに寄り添った機能が満載で、大変心強く感じました。今度は私たち現場の人間が、「Kokuban BASE」などを通じてその可能性をお伝えしていく番だと、思いを新たにしています。 

関:

竹山さんのような「デジタルの利点」と「教育現場の実態」の両方を知る方に評価いただけたことは、大きな自信になります。 私たちメーカーだけでは、箱を作ることはできても、そこから先の「最高の授業」を作ることはできません。 だからこそ、Kokuban BASEのようなパートナーが必要です。これから、日本の教育の最前線を共に走れることを光栄に思います。