最新の電子黒板では、ボタン一つで板書をQRコード化し、生徒へ共有することができます。生徒はQRコードを読み取るだけで、板書データを手元に保存できます。
授業の終了間際、写しきれなかった板書を慌ててノートに書き写したり、スマートフォンで黒板を撮影したりする必要はありません。そのため、生徒は最後まで授業に集中できます。

本記事では、板書をQRコード化することで生徒にもたらされるメリットや、実際の活用事例をご紹介します。

使い方:板書をQRコードで発行する

仕組みはシンプルです。

板書画面の左側にある「QRコード発行」ボタンを押すと、その板書のQRコードが発行されます。生徒は自分のタブレット端末で読み取り、板書データそのものを手に入れられます。
特別な設定は一切不要です。

生徒が「書き写し」から解放される3つのメリット

QRコードで板書を配布する方式には、従来のノートへの書き写しにはない利点があります。

1. 欠席した生徒への授業共有が楽になる

QRコードの先にあるのは、クラウド上に保存されたファイルです。同じリンクを共有すれば、その日休んだ生徒も、登校した生徒とまったく同じ板書を手に入れられます。これまでのように、友達からノートを借りて放課後に書き写したり、先生が改めて説明し直したりする手間がありません。「休んだから授業の内容が分からない」という遅れが生まれにくくなり、欠席のフォローが先生・生徒の双方にとってぐっと軽くなります。

2. 複雑な図も正確に保存できるので、理解することに集中できる

理科の実験装置の図、数学のグラフや立体図形、社会の年表や地図——板書のなかには、ノートに写すだけで時間がかかり、しかも写し間違えると意味が変わってしまうものがあります。こうした複雑な図ほど、データで持ち帰る効果は大きくなります。生徒は描き写す労力をかけずに正確な図を手元に残せるため、その分の集中力を「先生の説明を理解する」ことに回せます。電子黒板で鮮明に書かれた図が、画質を落とさずそのまま生徒の端末に届きます。

3. 写し漏れや間違いがなくなり、正しく定着する

板書を急いで書き写すと、どうしても写し漏れや書き間違いが起こります。本来覚えるべき内容が、自分のノートの中で間違った形になってしまえば、復習するほど誤った知識が定着してしまいます。QRコードで配られるのは先生が作った正しい板書そのものなので、こうした「写し間違いによる誤学習」が起こりません。生徒は確実に正しい情報をもとに復習でき、知識を正確に身につけられます。

授業での実践例

ここからは、QRコード配布が実際の授業でどう活きるのか、教科ごとの場面で見ていきます。配布は授業の最後に限りません。授業の途中でQRコードを発行すれば、その先の時間まるごとを「考えること」に充てられます。

算数:複雑な立体図形を「写させない」

算数・数学の立体図形は、生徒によってどうしても写し間違いが出てしまう単元です。見取図の奥行きの線、隠れて見えない辺の点線——一本ずれただけで、まったく別の立体になってしまいます。間違った図をもとに考えれば、当然、答えにもたどり着けません。

そこで、先生があらかじめ正確に作図した立体図形を電子黒板に呼び込み、授業の途中でQRコードを発行します。生徒は正しい図形を自分の端末に取り込めるので、図を写し取る必要がなくなります。「写すこと」に取られていた時間と注意を、まるごと「どう解くか」という思考に向けられます。図を正しく写せるかどうかではなく、考える力で差がつく授業になります。

そもそも図形は先生自身で書かずに、テクノロジーを活用する算数の授業案もあります。

https://kokuban-base.com/columns/digital-gene/

社会:地図上に書いた板書をそのまま共有する

社会科では、世界地図や日本地図もそのまま生徒に共有できます。たとえば、川がどこを流れているのか、その周りにどんな地形や都市の特徴があるのか——こうした地図の読み取りは、地理の理解の土台になります。

しかし、日本地図を一からノートに書き写すのは、授業時間の使い方としてあまりに惜しい作業です。輪郭を描くだけで数分かかり、しかも正確には描けません。先生が電子黒板に地図を表示し、川や山地、都市の位置を書き込んだ状態でQRコードを発行すれば、生徒はその地図をそのまま手元に持てます。書き写す手間を省いた分、「なぜこの場所に町が発達したのか」を考える時間に充てられます。

Google Mapを活用した、社会科の授業案はこちら。

https://kokuban-base.com/columns/ifp-lesson-lab-googlemap/

探究学習・文化祭:アイデア出しに専念させる

探究学習のテーマ決めや、文化祭の出し物のアイデア出しのような場面でも、板書の保存は効果を発揮します。

こうした話し合いでは、次々と出る意見をその場で板書していくことが大切です。先生が生徒のアイデアを電子黒板に書き出していき、最後にQRコードで全員に共有する。すると生徒は、「出た意見をメモしなきゃ」「あとで写しておかなきゃ」という心配から解放されます。記録は先生に任せて、生徒はアイデアを出すこと、人の意見に乗っかって発想を広げることに専念できます。話し合いが終われば、その記録がそのまま全員の手元に残ります。考えることと書き留めることを切り分けるだけで、議論の質が変わります。

まとめ:板書を「写す」から「渡す」へ

板書をQRコードで配布することの本質は、「便利になる」ことではありません。生徒が、書き写しに追われる時間から解放されることです。

これまで、授業中の生徒は、黒板とノートを往復しながら写し取ることに追われていました。立体図形の線を一本ずつ追い、地図の輪郭をなぞり、話し合いの意見を慌ててメモする。その作業の多くを、QRコード一枚が肩代わりします。生徒は説明に集中し、図形なら解き方を、地図なら土地の特徴を、話し合いなら次のアイデアを——本来向き合うべきことに、思考を向けられます。

特別な準備も、高度なICTスキルもいりません。板書をクラウドに保存して、発行されたQRコードを画面に映す。それだけで、「撮ってください」と言っていた授業が、「これ、どうぞ」と渡す授業に変わります。板書を撮らせるのをやめた教室から、生徒が顔を上げて先生を見て、考える時間が増えていきます。

お気づきかもしれませんが、生徒のメリットと同じもしくはそれ以上に先生側や教育機関側のメリットも数多いです。
次回以降に記事を更新します。