Googleマップを電子黒板で活用した社会科地理の授業案をご紹介します。
Googleマップ活用の真髄は、一つの対象を起点に知識が「芋づる式」に連鎖していくダイナミズムにあります。従来の地図帳学習では、情報が断片化し、点としての知識で終わってしまいがちでした。しかし、Googleマップを授業で活用すると、地図上の一点から、その土地の起伏、周辺を走る交通網、あるいはストリートビューを通じた人々のリアルな暮らしや文化といった多層的な情報を、直感的かつ連続的に引き出すことが可能になります。
「なぜこの場所にこの産業があるのか」「地形がどのように人々の生活に影響を与えているのか」といった問いに対し、子どもたち自らが視覚的な情報を手がかりに、次の発見を自発的に手繰り寄せていく。この情報の連鎖こそが、断片的な知識を「生きた文脈」へと変え、地理をより立体的で深い理解へと導く仕掛けとなるのです。
では、実際に九州地方の学習を例にご紹介いたします。
授業の実践例:「桜島」について調べるとき

まずはGoogleマップで「桜島」と検索します。マイクを搭載した電子黒板であれば、音声入力を使うと入力の手間が省け、授業のテンポもスムーズになります。検索結果が表示されれば、桜島がどこにあるかは一目瞭然です。
ここからが電子黒板のGoogleマップ活用の本番です。教師は生徒に次々と問いを投げかけ、思考を促していきます。
1. 「地形と交通」への気づき
まず、「桜島は左側と右側の半島、どちらと陸続きになっていますか?」と尋ねます。 地図を指で拡大していくと、答えはすぐに分かります。「右側の大隅半島と繋がっている」ことが視覚的に確認できるはずです。

さらに左側の半島の左手に「薩摩川内市」という市があります。このことを話題に挙げ、「薩摩川内、何と読むでしょうか」とクイズ形式で生徒に問うと盛り上がります。ちなみに、このようにすることで左側の半島が「薩摩半島」であることと「川内原発」が鹿児島県にあることを同時に、自然に頭に入れることができます。
さらに詳しく見ていくと、左側の薩摩半島との間に「青い点線」があることに気づきます。そこで「鹿児島港 桜島フェリーターミナル」をクリックしてみます。すると、フェリーが運航していることだけでなく、投稿されている写真から「車を載せて移動できる」という事実まで、セットで理解することができます。

ちなみに、フェリー内ではうどんを食べることもできます。

2. 「生活と環境」への関心
次に、「桜島には人が住んでいると思いますか?」と尋ねてみます。実際にスーパーやコンビニがあるかを検索し、暮らしの実態を探ります。「桜島にセブンイレブンはあるかな?」とクラス全員で検索すると非常に盛り上がります。
実態としては、島内にセブンイレブンはありませんが、ファミリーマートとローソンは存在します。ここで一つ「おち」として紹介できるのが、景観に配慮した「茶色のファミリーマート」の存在です。なぜ色が違うのかを考えることで、地域の環境保護への意識にまで視点を広げることができます。

3. 「歴史とインフラ」への発展
さらに、桜島から視点を左側の薩摩半島へと移すと、九州新幹線の駅、鹿児島中央駅が目に入ります。 ここで、JR九州の開業記念動画(3分程度)を視聴することもよいでしょう。すると、クラス全体の関心は一気に新幹線の重要性や、それによって変わった地域の歴史へと広がっていきます。
https://youtu.be/UNbJzCFgjnU?si=vaZfQ3mvDzSkP-ET
ちなみに動画の最後のカットで開業日が記載されています。「2011.03.12」。日本人にとってはとても重要な日です。
当日のJR九州の社長の決断は下記の記事で一読いただけます。合わせて授業でご紹介すると、より深い学習となります。
https://shuchi.php.co.jp/article/8366
■ まとめ
このように、目の前にあるリアルな地図情報を起点として、多角的な視点でその土地を深掘りしていくことができます。特筆すべきは、ここで触れた内容が、実はすべて中学入試等で出題歴のある「生きた知識」だということです。
- 桜島は、どの半島と陸続きになっているか。
- 桜島には、現在も人々が暮らしているのか。
- 桜島の噴火活動は、どれほど活発なのか。
- 川内原発は何県にあるのか。
これらを一問一答形式で必死に暗記する必要はありません。Googleマップを授業のインフラにすることで、生徒たちは自らの目で確認しているので、自然と答えに辿り着けるようになります。
この手法の最大のメリットは、何よりも「知識が芋づる式に繋がり、学びそのものが面白い」と感じられる点にあります。単なる文字の羅列を記憶に押し込むのではなく、地図上の位置関係や現地の風景、関連する映像と共にインプットする。そうすることで、無理なく、かつ忘れにくい知識として脳に刻まれます。
視覚情報と文脈をリンクさせ、情報の点と線を繋いでいく。これこそが電子黒板を活用した「立体的」な授業の本質です。
授業が終わったとき、「鹿児島県に行ってみたい」「九州に行ってみたい」、生徒からそんな声が聞こえるはずです。